明治大正史 世相編

昨年、引っ越しした際、どのダンボールに詰めたかわからないままになっていて、
もう一度、読みたい本が、柳田国男の「明治大正史 世相編」(講談社学術文庫、中公クラシックなど)です。

民俗学の提唱者、柳田国男が書いた本です。
人々の暮らしがいかに変化してきたかを平易な文章で書いています。

日本の食文化について真剣に考えるなら、宮本常一の著作とともに
外せない本であるとともに、意外と読まれていないのではと。
とりわけ、第二章の「食物の個人自由」と第七章の「酒」。

昭和初年の時点から、明治・大正を振り返っているのですが
社会の変化の速度が速まっているのがよくわかります。
昔のとか、古き良きとかいう安易で通俗的な偏見ではなく
きちんと庶民の生活の変遷をたどろうとするなら、
ぜひ、いちど手にとって読んでみて欲しいです。

色であったり、匂いであったり、
当たり前と思っていることが、
近年のものであると言うことがわかります。

食事についても、1,温かくなった、2.柔らかくなった、甘くなったと指摘しています。

「温かい飯と味噌汁と浅漬と茶との生活は、実は現在の最小家族制が、やっと拵え上げた新様式であった。」

(第二章 食物の個人自由)

鵜呑みにするのは危険かと思いますが、この方の文章から読み取るべきことは多いです。